ビジネスではたった一言でモチベーションと作業効率を著しく低下させる。

　ビジネスにおいてコミュニケーションというものはとても大事である。コミュニケーションがうまくいくプロジェクトでは建設的な会議が行われ、高いモチベーションを維持し、クリエイティブな仕事を行うことができる。
　しかし、必ずしもそうなるとは限らない。むしろ逆のパターンが多いのではないだろうか。私自身も個人でやる仕事以外でモチベーションを保ち続けることができたプロジェクトは記憶にない。






　そういったモチベーションが上がらない。効率的な仕事ができないプロジェクトに共通することとしてコミュニケーションの中に「余計なひと言」が混ぜられているからだと推測する。というよりは経験上、断定する。
　
作業を依頼する際、口癖のように「ナルハヤ」と言う。


　これは「なるべく早く」という言葉の略称で使われ、ちょっとした作業を依頼する際によく言われている。確かに急に作業をお願いしたいときに思わず言ってしまいそうな言葉ではあるが、この言葉はあまり作業を効率化に導いたりモチベーションを向上させる言葉にはなりえない。
　理由のひとつに締切があいまいだから。なるべく早くといわれてもいつまでやればいいのかがぼやけている。いちいち確認しなければならないという余計な作業が発生し、さらに依頼した本人も特に決めてない場合がある。
　ふたつめに作業を中断させられる。急な依頼なので言われた人はもちろん自分の作業を行っている最中でまさに作業に集中している。その作業が特に集中力が高まりよりよい作業が行えている最中であればあるほど依頼後のモチベーションは低下の一途を辿る。
　私自身も経験が多々あるが、このような作業を依頼された後はたいていいつまで？どうすればいいの？というか本当にこの作業必要？と余計な考えで頭を占領させてしまう。
　もし緊急で作業をお願いしなければならない場合は（むしろ作業を依頼するときは常にだと思うが）いつまでの期限か、どれだけの優先順位かなどを他人の視点に立って依頼をするべきである。どうしても作業を中断させてしまうので100％とはいかないが作業効率やモチベーションの低下は最小限に抑えることができるのではないだろうか。


　
「～でもそんな無理しなくていいから」と変に気遣う。


　ある会議の話である。その会議では今後の戦略計画を説明しそれぞれの役割分担を明確にしこれからの作業への気合を入れる場として建設的に話を進められていた。
　しかし、最後である。今後も新しいことにチャレンジしたいのか、いつでもだれでもいいからアイデアが出たときは出してほしい。と周知したのである。そして付け加えて「でもそんな新しいものを求めてるわけでもないし、気軽に出してください。」と締めた。
　確かに新しいことへ挑戦するためにチームを問わずアイデアを募るのはいいことだと思う。意外な発見などが見つかる可能性を広げるからだ。ただだからといって付け加えた言葉は惜しいのではないだろうか。
　言った本人はアイデアをなかなか出したことない人への気遣いの言葉だろうが、言われた側としては「じゃ自分が出さなくてもいいんだ」という消極的な考えや「考えたはいいけど本当に提案したほうがいいのだろうか」という迷う人が出てくる。
　あまり影響されないかもしれないが、中途半端なひと言は迷いや諦めが生まれやすい。むしろこの場合は断定して募ったほうがいいと思う。



ビジネスに限らず言葉には注意が必要である。


　このような余計なひと言はビジネスの場だけでなくプライベートなどの場でも注意が必要になってくる。余計なひと言で恋人を怒らせた経験はよくあると思う。
　逆に的確な言葉、指示があればコミュニケーションがうまくとれるのはもちろん作業の結果にもいい影響を出す。
　料理研究家の栗原はるみさんは料理本を出版する際は誰が作っても同じ味になるようにレシピの順序、調味料の配分などを繰り返し繰り返し検証を重ねてやっと仕上げるという。おかげで嫁が作る料理も本格的な味わいになっている。
　※ここであえて言っておくが私の嫁が作る料理はどれもすばらしく美味である。毎日作る料理はおいしさに健康がプラスされいくら感謝しても足りないくらい愛情にあふれた料理を作ってくれる。
　他にもある小学校では掃除の時間にただ掃除をしなさいというよりは「ごみを10個拾ってください」と支持するほうがよりきれいに掃除が行われる。目の色が変わるほどである。
　
　このようにビジネスでもプライベートでもひと言はそこにいる人たちのその後に大きく影響を及ぼす。そのため私自身も言葉を口から出す際は口の中で吟味して出すよう気を付けたいです。